【2025年11月最新!】特許取得方法を徹底解説!流れ・費用・メリットも!『特許取得完全ガイド』

こんにちは!弁理士のオムレツです。

《この記事を読んで欲しい人》
・特許取得を検討されている方

オムレツ

《この記事を読んで欲しい人》
特許取得を検討されている方

この記事では、
「アイデアを思いついたけど、どうやって特許を取るの?」「特許費用ってどれくらい?手続きは難しい?」
そんな疑問を抱えている方に向けて、特許の取得方法をゼロからやさしく解説します。専門用語はできるだけ使わず、特許に関する知識が全くない方にもイメージしていただけるような構成にしています。

特許はうまく活用すれば、下記の点で武器になります!

  • ビジネスの独自性を守る
  • 競合の模倣をブロックする
  • 企業価値を高める
  • 資金調達・補助金でも有利になる

経営者やマーケター、営業などの知財初心者にも簡単に理解いただけるようにまとめていますので、ぜひ参考にしてください!

目次

特許ってそもそも何?

特許というのは、一言でいうと 「新しい技術を発明した人に、国が“独占して使える権利”を与える制度」 のことです。

皆さんが時間やお金、労力をかけて作り出した技術が、他社に簡単に真似されてしまっては、開発した意味がありません。
そこで国が、「この技術は発明者であるあなたのものです。他の会社は勝手に使ってはいけません」という形で保護してくれる仕組みが特許制度です。


特許を取るとどのようなメリットがあるの?

特許が付与されると、その技術に関して原則、特許を持っている人(特許権者)が唯一、実施できる者となります
つまり、

  • 競合はその技術を使って製品を作ることができない。
  • もし使われたら「販売をやめてください」と言える。
  • 損害が出た場合は賠償金を請求できる。
  • 逆にライセンスとして他社に使わせてロイヤリティ収入に変換できる。

といった、強力なビジネス武器として活用できます。

また、特許の有無は次のような場面で事業戦略に直結します:

  • 新規事業の立ち上げ
  • 新商品を市場に投入するとき
  • 投資家から資金調達したいとき
  • 大企業と協業を進めるとき
  • M&Aで企業価値を評価されるとき

特許を持っているだけで「その会社にしか提供できない価値」が証明されるため、まさに 事業の“参入障壁” となるわけです。

特許のメリットの詳細については知りたい方は下の記事から!

特許で独占できる期間は?

特許権は、出願日から最大 20年間 という長い期間、特許権者がその技術を独占できます。

例えば:

  • スマホのタッチパネル技術
  • Amazonのワンクリック特許
  • 医薬品の化学構造

など、過去の大発明もこの特許によって利益を独占してきました。

特許が切れてしまうと一気に模倣品が増えますが、逆に言えば 20年もの間、競合は手も足も出せない状態を作ることができる わけです。

どんなものが特許になるの?

特許の対象は「技術的なアイデア」です。
例としては、以下のようなものが挙げられます。

電化製品

  • 冷蔵庫の新しい冷却方式
  • 自動車の衝突を防ぐ制御機構
  • 省エネ性能が高いエアコンの内部構造

製造

  • 工場のラインを効率化する方法
  • 食品をより早く乾燥させる製法
  • 壊れにくい金属を作る加工プロセス

ソフトウェア

  • AIの学習精度を上げるアルゴリズム
  • 不正アクセスを防ぐデータ処理方法
  • ECサイトの検索性能を上げる技術

IoT・AI

  • センサーで異常を検知する仕組み
  • 農作物を自動で判別して収穫するロボット
  • ユーザーの行動パターンを解析して最適化するシステム

食品・日用品

  • 揚げ油が酸化しにくい製法
  • 食品をふわふわに仕上げる加熱技術
  • 汚れが落ちやすい洗剤の配合方法

※ 特許にならないケースもある

特許の対象は「技術的アイデア」なので、以下のようなものは原則として特許になりません。

  • ただの思いつき
  • ビジネスモデルだけ
  • 「こうしたら売れるかも」といった企画
  • 既に世の中に存在しているアイデアの焼き直し
  • 技術的な裏付けがないもの

なお、ビジネスモデルでも“技術的手段”が絡めば特許になる場合も多く、
例えば「ECの注文を自動で割り当てるシステム」などは特許対象になります。


特許になるにはどのような要素が必要?

特許にするためには、申請(出願と言います)をして、その後の審査をクリアする必要があります。
その審査の中で最も重視されるポイントは次の2つです。

1. 新しさ(新規性)

ご自身の発明が、世の中に存在しないものであること。ネットに公開されていてもアウトです。

2. 技術的な工夫(進歩性)

技術者から見ても「なるほど、これは簡単に思いつかないな」と思えるレベルの工夫が必要です。

この 新しさ+技術的工夫 の組み合わせが、特許の“核”となります。

特許取得に必要な費用は?

特許を取るには、出願して終わりではなく、審査請求・登録料・維持費など、いくつかの段階で費用がかかります。ここでは、一般的な企業・個人事業主・スタートアップが特許を取得する場合の費用感を、出来るだけイメージしやすい形でお伝えします。

なお、技術分野ごとの特許取得費用については知りたい方は下の記事から!

全体の合計費用イメージ

すべてを含めると、

特許取得までの総費用は 40万〜100万円+維持費

が、もっとも一般的なレンジです。

技術が複雑だったり、審査で反論が何度も必要になる場合は

総額150万円〜200万円以上

になることもあります。

1. 出願費用(最初に必要な費用)

まずは「特許を出したい!」となったときに支払う初期費用です。

1-1. 書類をつくる費用(弁理士費用)

アイデアを文章化し、図面を作り、法律に沿った形に整える作業です。
専門性が非常に高く、ほとんどの人が弁理士に依頼します。

  • 相場:20万〜60万円
    (技術内容が高度な場合や文章量が通常よりも多い場合は80万円以上になることもあります。)

※ 発明者自身で書くこともできますが、内容が不十分だと「本当はもっと広く保護できるはずの特許が狭くなる」「そもそも拒絶される(=審査が通らない)」などのリスクがあります。

1-2. 特許庁に支払う出願料

書類が完成した後に特許庁へ提出する際の費用です。

  • 特許庁の出願料:14,000円前後

2. 審査請求費用

出願しただけでは特許は審査されません。
「審査をお願いします」という手続きをし、その際に費用が発生します。

  • 特許庁の審査請求料:120,000円前後(請求項の数によって変動)

※ 請求項というものの数が多いほど費用が高くなる仕組みです。

審査請求は出願から3年以内にすればOKですが、「早くほしい」場合はすぐに請求する必要があります。


3. 拒絶理由対応費用

審査が始まると、ほとんどの場合、「このままでは特許にできません」という通知(拒絶理由通知)が1回以上届きます。

その対応として、弁理士に

  • 反論を書く
  • 文言を調整する
  • 必要に応じて権利範囲を修正(補正)する

などを依頼します。

  • 相場:5万〜20万円×回数
    (内容により数十万円になる場合も)

ここが特許の成否をわける最重要ポイントです。


4. 登録料

審査で「特許にしてよい」と判断されると、最初の3年分の登録料を支払います。

  • 特許庁の登録料(1〜3年分):約15,000円〜25,000円

料金は、発明の種類や請求項数に応じて変動します。


5. 維持費(年金)

特許は取得したら終わりではなく、毎年「年金」という維持費を払う必要があります。

年を追うごとに少しずつ増えていき、

  • 1年目〜10年目 → 年に1万円台〜数万円
  • 11年目〜20年目 → 年に5万円以上

だいたいこのくらいのイメージです。

※ 途中で支払わなければ特許は失効します。
※ 多くの事業者は10年〜12年目あたりで維持をやめるケースが多いです。

コストを抑えるコツは?

費用は抑えつつ、権利はしっかり取るための現実的な方法は以下です。

  1. 最初の出願は発明のポイントをしっかり詰めてから行う
     (曖昧なままだと中間対応が増えて費用が膨れる)
  2. 請求項を必要以上に増やさない
     (審査請求料が跳ね上がる)
  3. 商標・意匠と組み合わせて防御する
     (特許だけで頑張らず総合的に知財戦略を作る)
  4. 中間対応の方針を弁理士と明確に共有しておく
     (争わず早期権利化を目指せば費用は下がる)

特許を取る前にやっておくべき3つの注意点

特許は「出して終わり」ではなく、出願前の準備が勝負どころです。
ここが甘いと――

  • せっかく出願したのに拒絶される
  • 後から競合に回り込まれる
  • 特許は取れたのに、ビジネスに役立たない
  • 強いはずの特許なのに、実はザル特許だった

といったトラブルが起きがちです。

ここでは、特許を取得する前に必ず押さえてほしい3つのポイントを、出来るだけ分かりやすく、かつ実務的に解説します。

1. 発明を「誰にも話さない」「公開しない」

特許制度では、公開された技術は“新しくない”とみなされるため、たった一度SNSに投稿しただけでも、特許が登録されなくなる可能性があります。

やってしまいがちな“アウト”例

  • 展示会で開発品を見せてしまった
  • 資料を顧客にメールで送ってしまった
  • Webサイトで機能説明を先に公開した
  • YouTube・X・Instagramで告知した
  • クラファンで製品を先に紹介した
  • 論文・学会で発表してしまった

これらは全て「公知(公開)」扱いとなり、原則アウトです。

対策

  • 公開より 先に特許出願する
  • どうしても公開が必要なら「仮出願」(※米国)や「先に出願日だけ確保する」などの戦略を検討
  • 相手に話す場合は 秘密保持契約(NDA)が必須

2. 先に“競合の特許”を軽くでも調べておく

実は、**特許の多くが拒絶理由になるのは「競合や他社の特許がすでにあるから」**です。

つまり、
“特許を出す前に”競合の特許状況を知っておくことが最大のリスク回避になります。

見るべきポイントは2つ

  1. 似た技術がすでに出願されていないか
  2. どこが違うのか(差別化ポイント)

調べ方

特許庁のデータベース「J-PlatPat」で簡単に検索できます。
検索は完全一致ワードでなくても問題ありません。

例:

  • 「AI 需要予測」
  • 「食品 小型 加工 装置」
  • 「保湿 成分 抽出」

先にざっくり競合の状況を知るだけで、

  • 書くべきポイント
  • アピールすべき差分
  • 無駄な出願になるかどうか
    が明確にわかります。

3. 発明の「本質(コア技術)」を言語化しておく

特許は“アイデア”ではなく、技術的アイデアを構造化して文章化する作業です。

ここで、多くのトラブルは、
「本当に守るべき技術が曖昧なまま出願してしまう」
ことで起きています。

発明の本質を言語化するときのポイント

以下の3つを整理しておくと、明細書の質が一気に上がります。

どんな課題を解決する技術なのか
(例)従来のAIは学習精度が低かった → 新方式で改善

その課題をどう解決しているのか(技術構成)
(例)データ分割・重み調整・学習アルゴリズムの新方式

競合が同じことをしようとすると何をしないといけないか
(例)同じ特徴量抽出方式/同じ構造のネットワーク使用が必要

この③が非常に重要で、
特許で一番守りたいポイント(コア技術) がここにあります。

本質を言語化すると、次のメリットが生まれる

  • 特許が“強い”ものになる
  • 競合が真似しにくい権利構成が作れる
  • 技術チームとの意思疎通がスムーズ
  • 出口(事業化・ライセンス)を考えやすくなる

ここを丁寧にやったかどうかで、特許の強さが劇的に変わります。

特許を取るための全体の流れ

特許を取る方法はざっくり言うとこの 6ステップ です。

  1. アイデア(発明)の整理
  2. 先行技術調査
  3. 特許原稿の作成
  4. 出願(特許庁へ提出)
  5. 出願公開(1年6か月後)
  6. 審査請求
  7. 審査(拒絶理由対応)
  8. 特許査定・登録

この流れは最低でも 半年〜1年、通常は3〜5年かけて進みます。
思ったより長いと感じるかもしれませんが、どのステップもとても重要です。

ここでは、“アイデアを思いついた瞬間”から“特許権を取得する”までの一連の流れを、出来るだけ分かりやすく説明します。専門家に依頼する場合と、自分で申請する場合の違いにも軽く触れながら進めます。

STEP
アイデア(発明)の整理

— 発明の「本質」を固めるフェーズ —

特許は「発明の中身」がきちんと整理されていない状態では非常に取りづらいです。
まずは、次の項目を紙やメモに書き出してください。

  • 何が新しいのか?(新規性)
  • 他社と何が違うのか?(進歩性)
  • どんな課題を解決するのか?(課題)
  • どんな仕組みで解決するのか?(手段)
  • 実施例(実際にどう使うか)

弁理士に依頼する場合でも、最初にこれがまとまっているとスムーズです。

STEP
先行技術調査(検索)

— 同じものがすでにあるか確認する —

特許庁のデータベース(J-PlatPat)やGoogle Patentsを使って、
“自分と似た発明がすでに特許になっていないか”を確認する必要があります。

弁理士はプロなので、かなり深く掘り下げて調べます。
逆に、自分だけでやる場合は調査が甘くなることが多いので注意が必要です。
ただし、特許取得の可能性を簡単に知りたい場合には、まずはAIに「先行技術調査のやり方」を教えてもらい、さっと調べるだけで十分かと思います。

なお、調査では次の事項について調べます:

  1. 同じ構成の発明がないか?
  2. 同じ特徴をすでに含んでいる特許がないか?
  3. 類似技術が多すぎて特許が取れなさそうではないか?
STEP
特許書面の作成

— 特許の合否が±90%決まる最重要工程 —

特許書面は主に下記の項目から出来ています。

  • 請求項(クレーム)
  • 発明の詳細な説明
  • 図面

特に請求項は
「広すぎる → 拒絶される」
「狭すぎる → 権利が弱い(守れない)」
というジレンマがあります。

ここを如何に上手く表現するかが弁理士の腕の見せ所です。

初心者が自分だけで特許書面を書くことと多くの場合は“権利が取れない”か“取れても使い物にならない”場合が多いです。
ただ、今はAIが発達してきているので、近い将来はAIで十分な質の書面を作成することが可能になるでしょう。

STEP
出願(特許庁へ提出)

— ここでようやく「特許出願番号」が発行される —

手続きは以下のどちらか:

  • 電子出願ソフトを使う(弁理士は通常これ)
  • 書面で特許庁へ提出する(一般の人でも可能)

出願すると:

  • 出願日が確定
  • 出願番号が付与
  • 出願内容が“仮の権利”として保護

ここから審査が始まるわけではありません。

STEP
出願公開(1年6か月後)

— 世の中に公開される —

出願後、1年6か月経つと強制的に公開されます。
公開されると、他社もその内容を見ることができます。

ただし、この段階でもまだ「特許が取れた」わけではありません。

STEP
審査請求

— ここで初めて“審査が開始される —

特許は出願しただけでは審査されません。
出願から 3年以内に審査請求 する必要があります。

審査請求を忘れると、その出願は自動的に消滅します。

(弁理士に頼むとクリック1つでやってくれますが、自分で出願する人は要注意)

STEP
審査(拒絶理由対応)

— 特許庁とやり取りするフェーズ —

審査が始まると、多くの場合、拒絶理由通知書というのが届きます:

拒絶理由通知書には

  • 他社の特許と似すぎている
  • 新規性がない
  • 進歩性がない
  • 請求項の書き方に問題がある

など、「今のままでは特許に出来ない理由」が書かれています。

ここで、意見書・補正書を出して、
「こういう点が違う」「この構成が特徴だ」など論理的に反論していきます。

STEP
特許査定・登録

— ついに特許取得 —

審査官から 特許査定 が届くと合格です。
その後、特許料を支払うと正式に特許として登録されます。

登録料(第1~3年分)を支払うと、

  • 登録番号が付く
  • 特許証が送られてくる
  • 特許権が発生

特許の有効期限は 出願日から20年 です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

特許はビジネスの“武器”になり、製品・AI・ソフト・日用品まで幅広いアイデアを20年間しっかり守ってくれます。ただし、新規性・進歩性などの条件や、出願〜登録までの費用があるため、戦略的に進めることが大切です。また、全体の流れを知っておくだけで、ムダなく・早く・強く、ご自身の事業を守る特許戦略が組めます。

「結局まず何をすべきか悩む」などの個別にご相談されたい方は、お気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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