こんにちは!弁理士のオムレツです。

《この記事を読んで欲しい人》
会社・製品・サービスの名前やロゴを決めようとしている人、あるいは、決めてこれから使おうとしている人

《この記事を読んで欲しい人》
会社・製品・サービスの名前や
ロゴを決めようとしている人、あるいは、
決めてこれから使おうとしている人
この記事では、
「この名前で商品を売り出そうと思っているんだけど、他社の製品の名前と似ていて使っていいのか不安、、」「今後、このロゴ使っていきたいんだけど、他人の商標権ってのに引っかからないか心配、、」
そんな方に向けて、「ChatGPT(無料版)」を使って、使用する名前やロゴが他の人の商標権を侵害していないかをチェックする『AI商標侵害チェック』をご紹介します!
従来、数十万円+2〜3週間かかっていたものを無料版AI+30分で、素人でもカンタンに出来ますので、ぜひご活用ください!
(※この記事では、一例として無料版ChatGPTでやり方をご紹介しますが、他の無料AIでも同じようなやり方で判断可能です!)
※ この記事では図形のみの商標(文字を含まない商標)は対象外としていますのでご了承ください。
※なお、特許版(AI特許侵害チェック)についてはこちら↓(申し訳ございませんが、現在作成中ですので今暫くお待ちください。
そもそも商標とは?
商標とは、簡単にいうと、商品やサービスが「どこのものか」を見分けるためのマークや名前のことです。
例えば、「NIKEのスウッシュマーク」などが商標です。これらは、ロゴを見ただけで、「この靴はナイキのものだ!」と分かりますよね。
このように、他の会社と区別できるようにすることで、消費者が安心して選べるようにするのが商標の目的です。さらに、商標は特許庁に出願して登録すると、同じような名前やマークを他人に勝手に使われないようにすることができます。
もしも商標を侵害してしまうと?
もしも、商標を侵害してしまうと、例えば、問題となった名前が付いた商品を店頭から回収しなければならないケースがあります。そのため、場合によっては、全ての商品サービスの販売停止や在庫廃棄によって大きな損失が出ることも。そしてさらに深刻なのが、裁判を起こされたり、企業やブランドの信用を失ったりするリスクです。一度傷ついた信頼を取り戻すのは簡単ではありません。知らなかったでは済まされないのが商標の世界です。
商標侵害の条件とは?
まず、商標侵害(正確には商標権侵害)とは、登録されている商標権を侵害した場合に成立します。
そして、商標の登録とは、単に名前やマークだけを登録するのではなく、「その商標」と一緒に「使う商品やサービスの範囲」をセットで登録します。
例えば、「Sakura」という名前(商標)をチョコレート(商品)で商標登録することが可能です。
そして、商標侵害かどうかは、この登録内容をもとに2つの条件で判断されます。
1つ目は「登録された商標と同じ又は似ているかどうか」。
2つ目は「登録された商品やサービスと同じ又は似た種類の商品やサービスに使っているかどうか」です。
※「同じ又は似ている」を、商標の世界では「同一又は類似」と呼びます。
例えば、ある会社が「Sakura」という名前をチョコレートで商標登録していたとします。別の会社が同じ「Sakura」を洋服で使っても、商品が類似しないため原則として侵害にはなりません。逆に、似た名前を同じチョコレートに使えば侵害となる可能性があります。
この2つの条件がそろってはじめて商標権の侵害となります。すなわち、商標侵害をチェックするには、「登録されている商標」と、「(その登録されている商標に関する)商品・サービス」の2つを確認する必要があります。
『AI商標侵害チェック』とは?
AI商標侵害チェックとは、AI(今回はChatGPTの無料版)を活用して、これから使用する会社・製品・サービスの名前やロゴが他人の商標権という権利を侵害していないかをチェックする方法です。
これにより、 従来、特許事務所に依頼して数十万円+2〜3週間程度かけていた「使用する名前やロゴが他人の商標権を侵害していないか」の判断を、AIに聞くだけで無料+30分で確認できるようになりました。
もちろん、専門知識がなくても簡単に確認が可能です!
これが『AI商標侵害チェック』のやり方!
今回は、仮想事例として、『「光田ホットサイダー(ミツダホットサイダー)」を温かい炭酸飲料の名前として使いたい場合』という設定で、『AI商標侵害チェック』をやってみましょう。
各STEPの位置付けを下のフローにまとめていますので、まずこれを見てイメージを湧かせてから各STEPを読んでみてください。


J-PlatPat(日本の特許庁が運営している無料・安全なサイト)にアクセスし、トップページの「商標検索」をクリックします。


すると、商標検索のページに移動し、少し下にスクロールすると、下記の項目が表示されます。


『AI商標侵害チェック』で使用するのは、「商標(検索用)」と「称呼(類似検索)」の2つだけです。
2つの違いとしては、簡単にまとめると、下記の通りです。
「商標(検索用)」:字体(漢字・カナ等)が似ている商標を探す時に使う
「称呼(類似検索)」:音が似ている名前の商標を探す時に使う
(1)「商標(検索用)」を使った検索
まずは、「光田ホットサイダー」を「商標(検索用)」に入れて検索してみましょう。
「光田ホットサイダー」を「商標(検索用)」に入れて、


そして、検索をクリックしてみましょう。


すると、以下のように検索結果が表示されます。


今回は検索ヒット件数が(0)なので、該当する商標はありませんでした。
(2)「称呼(類似検索)」を使った検索
次に、「光田ホットサイダー」の読みである「ミツダホットサイダー」を「称呼(類似検索)」に入れて検索してみましょう。


ちなみにこの検索ヒット件数も(0)であったので、該当する商標はありませんでした。
今回のように、同一・類似の商標がなかった場合には、STEP3に進みましょう。
逆に、同一・類似の商標があった場合には、一旦、STEP3は飛ばして、STEP4に進み、同一又は類似の商品・サービスがないかを調査しましょう(STEP3は、STEP4でリスクが低いと判断された後に、進むようにしてください)。
次に、名前を構成する単語ごとに分け、さらに必要に応じて単語同士を組み合わせた言葉を作り、それぞれについて調査します。
例えば「光田ホットサイダー」という名前の場合、まず「光田」「ホット」「サイダー」の3つに分解します。さらにこれらを2語ずつ組み合わせ、「光田ホット」「光田サイダー」「ホットサイダー」という3つの言葉を作成できます。合計すると、「光田」「ホット」「サイダー」「光田ホット」「光田サイダー」「ホットサイダー」の6語になります。
※ ただし、「ホット」や「サイダー」のように、明らかな一般名称については調査不要です。
したがって、今回は「光田」「光田ホット」「光田サイダー」「ホットサイダー」の4語のみを対象とし、先ほどのSTEP2(1)(2)と同じ手順で調査を行います(そのため、追加で合計8回の検索を実施することになります)。
まず、「光田」を(1)で調査した場合(「ミツダ」を「称呼(類似検索)」で検索した場合)に、下記のような商標が出てきました。


具体的な商標は下記の通りです。


例えば、No.1の青文字部分(登録5419117)をクリックすると下のように表示されます。


上記の「MITSUDA」のような、「光田ホットサイダー」と類似しているか判断が迷う商標が出てきた時は、下記の形でAIに聞いてみてください。
(なお、AIは基本的になんでもOKです!例えば、OpenAIが提供する「ChatGPT(無料版)」にアクセスすることで使用可能です。ログイン(もしくはアカウント登録)すれば、すぐにChatGPTを使い始められます)
これら添付の写真のうち、1枚目は登録商標「〇〇」で、2枚目はこれから私が使用したいと考えている商標「◆◆」です。あなたは日本の弁理士です。商標権侵害の観点から、1枚目の商標と2枚目の商標が類似している可能性を根拠を示しながら教えて。
※なお、文字のみの商標や文字以外に特徴のない商標であれば、写真を添付する必要はありません。(『登録商標「〇〇」と、これから私が使用したいと考えている商標「◆◆」が類似している可能性を根拠を示しながら教えて』等で十分です)
なので、今回の事例に置き換えると、、



これら添付の写真のうち、1枚目は登録商標「MITSUDA」で、2枚目はこれから私が使用したいと考えている商標「光田ホットサイダー」です。あなたは日本の弁理士です。商標権侵害の観点から、1枚目の商標と2枚目の商標が類似している可能性を根拠を示しながら教えて。
【↓添付特許1枚目】商標「MITSUDA」の右側の画像部分のスクリーンショット


【↓添付特許2枚目】商標「光田ホットサイダー」(今回はAIで作成しました)


今回は下の回答がAIから返ってきました。



まとめると、商標「MITSUDA」と「光田ホットサイダー」は、通常は類似しないと判断されるケースが多いです。
このように、類似しないと判断された場合には、基本的に侵害する可能性は低いとして除外してください。
なお、「ミツダ」の検索の中で、上記の他にも類似していそう商標があれば、同様に調べてみてください(類似していそうかの判断は難しいかとは思いますが、ご自身の感覚で「類似していそう」と思う商標については全て調べておく方がより安全です)。
そして、調査の結果、いずれの場合(今回で言うと、「光田」、「光田ホット」、「光田サイダー」、「ホットサイダー」)においても類似するものがなければ、無事調査終了(=リスク低い)です!
一方で、「光田サイダー」を(2)で調査した場合(「ミツダサイダー」を「称呼(類似検索)」で検索した場合)に、下記の商標が出てきました。


ここに記載のNo.1にある、「三ツ矢サイダー」について調査してみました。





これら添付の写真のうち、1枚目は登録商標「三ツ矢サイダー」で、2枚目はこれから私が使用したいと考えている商標「光田ホットサイダー」です。あなたは日本の弁理士です。商標権侵害の観点から、1枚目の商標と2枚目の商標が類似している可能性を根拠を示しながら教えて。



「三ツ矢サイダー」と「光田ホットサイダー」は、類似商標と判断される可能性が高いです。
このように、同一・類似の商標があった場合には、STEP4へ進みましょう。
同一・類似の商標が見つかったら、その商標の「類似群コード」を確認します。
類似群コードは、各商標の下の方に記載されていて、下の画像の赤丸に示すような「数字2ケタ」+「アルファベット1ケタ」+「数字2ケタ」になります(今回の例では類似群コードが1つだけですが、複数ある方が多いと思います)。


そして、ChatGPTに以下のように聞きます:
あなたは日本の弁理士です。(今回商標の使用を予定している商品・サービス)は、類似群コード(〇〇)に該当する商標・サービスと同一または類似であるか根拠を示しながら教えてください。
※ 類似群コードが複数ある場合には、〇〇に全て記載してください。
なので、今回の事例に置き換えると、



あなたは日本の弁理士です。温かい炭酸飲料は、類似群コード29C01に該当する商標・サービスと同一または類似であるか根拠を示しながら教えてください。



原則として「温かい炭酸飲料」も炭酸を含む「清涼飲料」に当たるため、類似群コード「29C01」に含まれる商品(炭酸水、サイダー、コーラ等)と同一または類似すると推定される可能性が高いです。
ここで、上記のように、類似群コードでも同一・類似と判断された場合には、商標だけでなく、商品・サービスにおいても似ていると判断されたということですので、このまま商標をその商品やサービスに使用すると(今回の例でいうと、「光田ホットサイダー」の名前で温かい炭酸飲料に販売等すると)商標侵害の可能性が高いということになります。
このような場合には、例えば、違う名前にするなど、使用する予定の商標を変える対応が望ましいです(他の手もありますが、それは時間やコストがかかるため今回は紹介を割愛します)。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この「AI商標侵害チェック」を使えば、特許事務所に相談することなく使用したい商標が侵害しそうか否かを知ることができ、費用と時間の節約につながります。
ただし、「AI商標侵害チェック」はあくまで簡易調査であり、専門家が行う調査と比べると、どうしても劣る部分があります(今回の「AI商標侵害チェック」で侵害する可能性が低いとされた場合でも訴訟等で侵害と判断される可能性もあります)。そのため、「商標侵害するかどうかをより正確に知りたい」という場合は、特許事務所に聞いていただくか、私でよければ、いつでも気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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